アラスカ航空の尾翼の顔は誰?秘められた謎に迫る!
2017/11/09
ハワイを訪れた方は、空港でアラスカ航空の機体を目にしたことがあるかもしれません。
尾翼にエスキモーのおじさんの顔が描かれた機体です。
尾翼といえば、エアラインのシンボル。
そこに黒一色で描かれた大きな顔は、とてもインパクトがあります。
深いシワと垂れ気味のゲジ眉。
人は良さそうなんだけどお世辞にもカッコいいとはいえない(失礼!)おじさんが、どうしてハイテクなジェット機のロゴに描かれているのでしょうか?
おじさんはいったい誰?
アラスカ航空は、なぜおじさんをシンボルに?
尾翼のおじさんのことを調べるうちに、意外なことが分かってきました。
機体の画像とともに、アラスカ航空おじさんの謎に迫ってみたいと思います。
もくじ
おじさんは誰?
アラスカ航空の機体におじさんが登場したのは1972年。以来、44年間描かれ続けています。
長い間大事にされ続けているおじさんですが、実はこの人が誰なのかは分かっていません。
分かっていることは、アラスカ原住民のエスキモーの男性ということ。
はっきりしているのはそれだけなのですが、おじさんの顔にはモデルとなる実在の人物がいたといわれています。
一人はチェスター・セベック(Chester Seveck)というコツベク出身のダンサー兼トナカイ飼いで、アラスカ航空の案内人として働いたことのある人物。
もう一人はオリバー・アモゥアク(Oliver Amouak)というイヌイット族の男性で、各地で行うアラスカのショーの巡業のために雇われたパフォーマー。
二人のうちのどちらかが尾翼のモデル。
じゃあ、どっちの人なの?
二人に関する記事を読んでも、どちらの人がより近いのかはっきりしません。どちらも「当然うちがモデル」という前提で書かれており、人々の間でも意見が分かれています。
おもしろいのは「子供の頃はみんな自分のおじいちゃんだと思っていた」という人がいたり、「尾翼の顔がだれなのかみんな知っている。意見が合わないだけ」という人がいたりして、全く白黒つきそうにありません。
作った人はどうなのよ?
そこでアラスカ航空のウェブサイトをんでみると、「アイコンは伝統的なアラスカのエスキモーを一般的に象徴したもの」という記述はありますが、人物を特定する結論を出していません。
写真判定っきゃないっしょーー
ということでこちらで写真を見てみましょう。
アラスカ航空「The story of the Eskimo」
わたし的にはオリバーさんに一票入れていいような気がしますが。
誰かはっきりさせないのは肖像権の問題からなのではないかと勘繰りたくもなりますが、微笑むエスキモーおじさんの顔を見ていると「どっちでもいいよ~」と言われているように感じてきました。
なぜおじさんがシンボルに?
おじさんを一人の人物に特定することはできなかったのですが、では何故エスキモーおじさんを機体に描くようになったのか?
アラスカ航空の歴史と背景を見てみましょう。
アラスカ航空は今年で創業86年。
アメリカ大手の航空会社の一つで、顧客満足度一位に9年連続で選ばれています。
アラスカは全米で最も広い州(日本の約4倍)。町が散らばっているため、飛行機は都市と町を結び、郵便、食料、薬を運ぶ命綱。北極点近くに暮らす住民の間では「病気になったら病院に、ではなくアラスカ航空に電話する」とまで言われたほどです。
住民の欠かせない足として親しまれてきたアラスカ航空に1971年、経営難が訪れます。
それを打開するため新しいリーダーのもと財政強化と経営の立て直しが図られ、それまでは大きなデザインのうちの一つのモチーフにすぎなかったおじさんの顔が、本格的なロゴに採用されました。
「始めは太くべっとりしたロゴにとても驚いた。そのころから自分たちの仕事がとても楽しく思えてきた。それは今に至る(拡大の)旅の始まりだった」と元従業員は語っています。
経営再建とおじさんのロゴがほぼ同時期・・・
っておじさん、ラッキーマン!?
おじさん、グッジョブです!!
それにしても、当時社内でもおじさんロゴをヘンテコリンと思う人もいたんですね。
もし経営が回復しなかったら…と想像すると、エスキモーおじさんはその後も尾翼にいたかどうか分からなかったわけで、ほんとによかったなぁと思います。
どんなおじさん?
おじさんロゴにはいくつかのバージョンがあります。
ここでアラスカ航空の機体をご紹介しますね。
尾翼を拡大してみます。
シブいですね~
かすかに笑みを浮かべているようにも見えます。そこにまた、余裕とおおらかさを感じます。
さらに、
私がおじさんに興味をもつようになったのがこちらの写真。
おじさんがレイつけとるがな!!
おじさんとデンファレの対比がステキ!
ついでに、このような機体もあります。
機体まるごとシャケ一匹!
おじさんに花つけたり、空飛ぶシャケにしたり・・・アラスカ航空、発想がすごいです。
愛され続けるおじさん
今年2016年、アラスカ航空は四半世紀ぶりにおじさんロゴの見直しを行いました。それにより細かい線がスムーズになり、黒一色だったおじさんの周りにきれいな青と緑の線が加わりました。
おじさんのシワが減りさわやかに若返ったように見えます。
極寒のアラスカで、自然の厳しさをものともしない、かすかに微笑んでいる顔。
優しそうな目じりの深いシワ。
ワイルドな顔の周りの毛皮。
アラスカの人は様々な空港でおじさんの顔を見ると、とてもホッとするのだそうです。尾翼のロゴに家族や家、地域、友達、ふるさとを思い出すとか。
そんなエスキモーおじさんの目が映し出すのは、アラスカの人々と地球の人々、大地と大空なのかもしれません。
まとめ
私が最初にエスキモーおじさんに興味をもったのは、空港でアラスカ航空の尾翼を見てからです。そこでネットで調べると、おもしろい画像があったのです。
アラスカ航空のメインハブ、シアトル・タコマ空港でどなたかが撮った写真に目が釘付けになりました。
尾翼のおじさんが鼻つき合わせて5、6機並んでいるんです。思わずプッ、と吹いてしまいました。
「おっさんが会合しとる。ウケルwww」こんな感じのキャプションで、同感でした。
今回、エスキモーおじさんを一人に特定することはできませんでしたが、記事を書いているうちにとてもアラスカに行ってみたくなりました。
もう、おじさんの罠にまんまとハマってしまいましたよ。
そして、尾翼が集まった“おじさん会合中”の風景をこの目で見たいと思います。。
この春、アラスカ航空はヴァージン・アメリカを買収。JALとも提携し、ますます機体を見る機会が増えることになります。
ホノルル空港ではおもに14番ゲートでアラスカ航空の機体を見ることができます。
あなたもアラスカ航空を見かけたら、
おじさんマジックにひっかかるかもよ?